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グルメ専門誌「おとなの週末」のグルメライターが覆面調査で食べ歩いた厳選記事を中心に紹介
東京都内のおすすめ&いまいちな寿司屋を全部教えます!

東京都内のおすすめ&いまいちな寿司屋を全部教えます!

いい寿司屋、 いまいちな寿司屋 全部教えます!『おとなの週末』ライター&編集が東京都内の寿司屋を覆面調査。美味しいけれど、楽しいけれど、やはり覆面調査には難しさがつきもの。その困難ぶりや、取材はできなかったけどいいお店の情報など、本音トーク炸烈です!

寿司特集を担当した、ライター菜々山いく子(以下菜)、肥田木奈々(以下肥)、松田有美(以下松)、そして編集武内慎司(以下武)が覆面取材を振り返ります。
大きな声では言えない、寿司屋のウラ話も飛び出しました!

武「今回も皆さん苦労されたみたいで?」

菜「取材拒否の店が多かった!」

肥「今まで、色んな料理ジャンルの特集を担当してきたけど、寿司屋の取材拒否率って飛び抜けて高いですよね」

松「そうそう、『築地の寿司特集』だと、取材拒否ってほとんどないんですけどね。さすがに3軒立て続けに断られた時は、泣きそうになりましたよ。どこも、常連さんが入れなくなるからという理由で」


菜「あるある。それか、板場をひとりで切り盛りしているので、これ以上お客さんに来てもらっても手が回らないとか。八丁堀の『I』がそうだったなあ」

肥「まあ、街場にあるお店は、一見さんばかりの観光地と、営業方針も全く違うでしょうからね」

武「ボクも4軒の店に断られました。」

武「中でも渋谷区の『I』は赤酢を使ったシャリで、にぎりもキレイ。コストパフォーマンスも抜群だったんですよ。ミシュラン掲載を断ったって訊いていたんですけど、おと週ならOKしてくれるかなって。でも、やっぱダメでした」

菜「いや、それ以前に、ミシュランNGだけどおと週はOKじゃないかと思えるアナタのハートの強さに驚いてる(笑)」

松「汐留の『N』は、他の雑誌にも載っていたので、ここはイケると思ったんですけど、『アレは手違いで載ってしまっただけ』だって。なんならウチでも手違いしてくれれば良かったのに」

武「では、掲載している店で、特に良かった店は?」

菜「まず、コスパ系からいってみましょうか。それなら浅草の『鮨処 幸』ですね。」

鮨処 幸(浅草)

写真:『鮨処 幸』コースの握り

写真:『鮨処 幸』コースの一品料理の数

菜「5400円のコースで、刺身から、おつまみ2品、揚げ物、握りと盛りだくさんな内容。使っているネタもいいんですよ。店主に訊いたら、『お酒を飲んでもらわないと、やっていけない』ってこぼしてましたけど」

鮨処 幸

シャリを小さめに握るのが「鮨処 幸」の特徴ですが、これは口に入れたときのネタの存在感を味わうため、そして酒の肴にするための配慮です。店内には日本酒や焼酎もあり、お酒と一緒にお寿司を楽しむのも一興。コースの握りは北海道産のホタテや脂ののった大トロ、弾力のあるヒラメなど良質な素材を厳選しており満足感も高めです。桜コースは5400円、濃厚な旨味が特徴の皮ハギの肝和えは1080円など、庶民的な価格で楽しめるのが魅力です。

武「ボクは目白の『鮨 渓山』です。」

鮨 渓山(目白)

写真:『鮨 渓山』雅 3800円

武「お好みで満腹まで食べて、かなりお酒を飲んでも1万円以下。高級感あるお店の雰囲気もいいんですよね」

鮨 渓山

店内は和の趣あふれ、清潔で明るく入店しやすい雰囲気。大将の人柄も気さくで話しやすくついつい長居してしまうほど。お店で提供されるシャリは青森産で、湧水を使って育てた米はほどよい粘り気があり美味。赤酢を使ったシャリはまろやかな酸味がありネタの美味しさを引き出しています。鮪は天然物のインドマグロを使用し、旨味が多く酸味が少ない濃厚な味わいが特徴。サバやコハダなど光物の鮮度や絶妙な〆加減にも定評があります。

肥「私は荒木町にある『あたぼう鮨』ですね。」

あたぼう鮨(四谷三丁目)

写真:『あたぼう鮨』お好み握り 一貫 108円~518円

肥「1カン108円〜518円と、値段は回転寿司並み」

松「え〜!そんなに安いの!?」

肥「そう!なのに、ネタはどれも天然もの。特にマグロなんて本マグロですよ。ちゃんと熟練の職人さんが握ってくれるし、シャリも米の銘柄や酢にもこだわってて、コスパが抜群なの!」

あたぼう鮨

一貫108円からと回転寿司並みの良心価格でありながら、ネタは良質な天然ものを厳選しており満足度の高い東京のおすすめ寿司店。その道27年の寿司職人が心を込めて握る本格派。シャリは赤酢と白酢を絶妙にブレンドし、北海道の人気銘柄「ななつぼし」を採用したこだわりが光ります。お店の雰囲気は明るく、大将が笑顔で迎えてくれる常連になりたいお店。カニ、エビ、ホタテなど回線てんこ盛りの海鮮茶わん蒸し(540円)もおすすめです。

菜「じゃあ、ちょっとフンパツしてでも、ここは行くべきって店は?」

肥「牛込神楽坂の『すし北野』ですね。」

すし北野(牛込神楽坂)

『すし北野』写真:にぎり10貫 5400円(ネタは日によって変わる)

肥「例えば穴子は握る直前に、クマ笹の上で炙ってくれて、すっごく香りがいいし、光物の締め加減も文句なし。それに、茶道を習っているというご主人のにぎりの所作も、見ていて惚れぼれするほどキレイなの。カウンター内って寿司職人にとって舞台のようなものだもんね」

菜「へえ、寿司をにぎるために茶道か。そんな職人さん、会ったことないな」

すし北野

大将は茶道を習っているだけあり、その動きは惚れ惚れするほど美しく無駄がありません。カウンターの大将を見ているだけでも楽しい東京のおすすめ寿司店。つまみと握りのコースが中心のお店ですが、握りのみのおまかせコースも注文できます。アナゴは提供する直前に熊笹の上で炙り、香りをつける手の入れよう。魚の大きさや脂の乗り方を吟味し、塩や酢の加減を細かく調整しており繊細な仕事に食通も唸るクオリティーです。

武「駒込の『寿司 髙はし』もスゴいんですよ。

寿司 髙はし(駒込)

写真:『寿司 髙はし』にぎり盛り合せ 8640円

武「ご主人の話で面白かったのが、『寿司屋の“り”』」

松「ナニそれ?」

武「寿司屋って“り”が最後につくものが5つあるんですって」

肥「“シャリ”とか、“のり”とか?」

武「そう、他に“煮切り”、“あがり”、“ガリ”。お金はもらえないけど、この“り”をおろそかにしないことが、寿司屋の心意気だって」

松「なるほどー。その姿勢がすべての仕事につながるというワケですね」

武「そう、それが言いたかったんです!だからこの店の自慢の1貫で紹介しているのが、かんぴょう巻。地味でしょ?でも、これがとんでもなくウマいんです!手間がかかるみたいですけどね」

寿司 髙はし

「ガリ、あがり、シャリ、のり、煮切り」と最後に「り」がつくものは直接お金は頂けないものですが、寿司店にとっては大事なもの…それを信条にするのが寿司 髙はしの大将。その言葉どおりガリは新ショウガを1年分買い付けて店で漬けこむ、常におろしたての最高級のわさびを使うなど、主役である握り以外の部分に細かい配慮を行っています。この道40年の大ベテランでもある大将の握る寿司は空気を含み口に入れるとふわっとほどけてネタと混ざり合うまさに絶品。

菜「私は赤坂の『江戸前鮨 英』かな。」

江戸前鮨 英(赤坂・六本木)

写真:『江戸前鮨 英』にぎりのコース 8640円~

菜「何気ない貝やエビのにぎりなんですけど、実はどれも言われなければわからないほど、軽く塩をしてあったり、酢で洗ってたりするんです。でもそれを、こんな仕事してますとか一切言わないで、サラッと出してくるの。粋だなあ」

江戸前鮨 英

創業200年の江戸前寿司の老舗である「美家古鮨本店」で20年も修行した中島さんが独立し新規開店させたお店。江戸前寿司店で長年修行していただけあって、得意なものは貝の酢洗いや白身魚の昆布〆、煮穴子など江戸前の仕事が必要なネタ。砂糖を使用せず赤酢と塩だけで仕込んだシャリはお米の甘味がよく引きたち、ネタとの相性も抜群です。極上素材と職人の技が一体となった東京都内のおすすめ店、ぜひ一度どうぞ。

松「職人仕事をキチンとしている店といえば『鮨 鈴木』でしょうか。」

鮨 鈴木(銀座)

写真:『鮨 鈴木』ばらちらし 3240円

松「ばらちらしに乗せている、タコの桜煮や蒸しアワビが絶妙!もはや、流通が発達してるから、ネタがいいのは当たり前になってきた感がある。そこにどれだけ職人の技や手間が加わっているかが大事なんですよね」

武「そうそう、前号でピッツァを担当したんですけど、やっぱり寿司って高価なものですよね。言ってしまえば大トロ1貫で、マルゲリータが食べられる値段。だからこそ、さっきの『寿司 髙はし』みたいに、ネタ以外の部分もキチンとこだわって欲しいです」

鮨 鈴木

名店「鮨 青木」で腕を磨いた店主が新規オープンさせたお店。名店で修行しただけあり腕は確か。また一人のお客様はカウンター席の真ん中に案内し、お喋りしながらお寿司を楽しんでもらう配慮もあり大将の優しさが感じられます。シャリは赤酢とマイルドな白酢をブレンドし、まろやなか味わいが特徴。鮪は塩釜、ミル貝は愛知など大将みずから吟味し納得したものだけを仕入れています。握りだけではなくばらちらしも絶品。

菜「じゃあ、ここで座談会恒例のダメ出ししたい店について、どなたか」

松「ハイ!目黒の『T』という店です。ランチとは言え、シャリがデカすぎ!ネタが口のなかから無くなったのに、シャリが一向に消えていかない。もうちょっとバランスを考えて欲しかった」

肥「あー、でも江戸時代の寿司っておにぎりくらいあったって言うし、伝統に忠実なんですよ、その店(笑)」

武「ボクもシャリについて言いたい。『ココはないな』っていう店の大半は、シャリとネタが合ってない。シャリが柔らかめなのにネタは鮮度重視でコリコリしていたりとか、酢をきかせていないから、ネタの脂が口に残ってしまったり。シャリって本当に重要ですよね」

菜「皆さんまだまだ甘いですね、私なんて強烈なものに出会いましたよ。代々木の『T』って店なんですけど、電話予約でコースをお願いしてたの」

武「ふんふん」

菜「そしたら、刺身や握りは作り置きで冷蔵庫から出てくる始末」

肥「それはナイわ〜」

菜「でもね、心底ビックリしたのが焼き魚に付いてきた“前盛り”」

松「普通、棒ショウガとかでしょ?」

菜「そうそう、それがなんと、いぶりがっこの生クリームのせ!いぶりがっこの燻製香と甘いクリームの相性の悪さと言ったら、生涯忘れられない味でしたよ」

肥「たとえ前盛りでも、それを出されたら、板前さんのすべてのセンスを疑うにあまりあるよね(笑)」

武「ちょっと寿司から話が逸れたので、戻しましょうか。最近の傾向って何かありました?」

松「やっぱり熟成ネタは絶賛流行中でしょうね。特にマグロ。店によっては、水揚げされた場所や漁の種類によっても熟成方法を変えて、味や色味がベストになるよう調整しているそうですよ」

肥「銀座の『鮨處やまだ』も熟成ネタが最大の特徴。」

鮨處やまだ(銀座)

写真:『鮨處やまだ』おまかせにぎり寿司のコース15貫 10800円(ネタはその日によって変わる)

肥「マグロで10日前後かな。1ヶ月も熟成させるネタもあるとか」

菜「それって腐らない?」

肥「私も最初はそう思ったんだけど、熟成法や水分調節、温度管理などを徹底しているみたいで、食べてみると新鮮なものと違って旨みと甘みが全体によく行き渡っている感じ。熟成の話を訊きながら食べるのも面白かった」

松「シャリだと、ネタによって白酢と赤酢を使い分けるのも、最近の傾向かな」

鮨處やまだ

肉も魚も熟成させると旨味や甘味が凝縮され、濃厚な味わいになります。鮨處やまだは東京都内でも熟成ネタにこだわるおすすめ店舗。鮪の熟成期間は約10日前後、ネタによっては一か月以上熟成させることもあります。「腐ってしまうのでは?」と心配になりますが、温度や湿度管理、水分調整が徹底しており、腐敗するようなことはありません。こちらのお店ではコースの半分が熟成ネタとなっており、強いこだわりを感じさせます。

肥「同じく銀座の『すし晴海』がそうでした。」


すし晴海(銀座)

写真:『すし晴海』おまかせコース 10800円

肥「マグロとか、ウニ、〆鯖とか味の強いネタは赤酢。淡白な白身とかイカ、貝類は白酢。どのにぎりを食べても、ネタとシャリがちゃんと寄り添い合っている感じ」

すし晴海

東京都内の寿司店だけではなく、全国的な流れなのかもしれませんが、ネタによりシャリに使う酢の種類を変える傾向にあります。日本料理の名店「銀座小十」がプロデュースした「すし晴海」もその一つ。マグロやウニ、〆鯖など味の強いネタにはそれに負けない赤酢を使用し、淡白な味わいのイカや貝類、白身の魚には白酢を使うとシャリとネタとのバランスが良くなり口に入れたときの素材の旨味や甘味などが感じられやすいです。

武「今回の取材でネタの善し悪しだけでは、寿司は語れないということが、つくづく身に染みましたね。たったひと口で終わってしまう1貫に、どれほど職人の高い技術と手間が凝縮されているかということも。江戸から続く伝統食の凄みをまざまざと見せつけられた気がします」

このグルメ記事のライター
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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